MRIの目印・マーカー 実験編
コラムこんにちは。
河野です。
前回のMRI目印・マーカー 説明編からだいぶ日にちが経ってしまいましたが、今回は第二弾の実験編です。
マーカーに関しての前回のおさらいですが、主な条件として
・どの撮影法でもマーカーが見える(画像上で確認できる)
・画像上の邪魔にならない
・人体に無害
・コストが安い
・変性・劣化がない
・耐熱性
・適度な大きさ
などが挙げられます。
では、さっそく実験です。今回は臨床の現場でもよく使用されている「ブレスケア」を中心に話を進めていきます。
まず、MRIの基礎実験によく用いられる硫酸銅という試液がはいった薄い水色のボトル(硫酸銅自体は毒性が強いですから触らないように!)の上に一枚目の写真のように上から
1.黄色のブレスケア レモン味
2.緑色のブレスケア ミント味
3.黄色の少し大きいブレスケア 噛むブレスケア
4.一番下のピンク 採血の時に使用するゴム(駆血帯)
の順番に並べて貼ります。次に二枚目の写真の黒線のように縦にまっすぐな断面になるように設定します。
三枚目の写真は二枚目の写真の黒線を縦にまっすぐにスライスした断面となります。写真で解りにくい方はキュウリを縦に切って横向きにして緑の皮の部分にマーカーがあると想像してみて下さい。余計に解りにくいですかね??
三枚目の写真は小窓が4種類ありますが、MRIの日常の診療で使用するさまざまな撮影法で撮ったものを並べました。
黄色の「←やじるし」の番号が先ほど示したブレスケアや駆血帯の番号と一致します。上から二つ黄色のブレスケアと緑のブレスケアはどの断面でも綺麗に見えています。下二つの噛むブレスケアと駆血帯は右上の小窓写真でなんとなくわかるかなと言った感じです。
ちなみに、
黄色い矢印の番号の付いている左上の小窓はT2WI
左下の小窓はT2WI脂肪抑制
右上の黄色い矢印のみの小窓はFFE
右下の小窓はT1WIとなっています。
結果として、日常で使用頻度の多いすべての撮影法で「1.の黄色のブレスケア」と「2.の緑色のブレスケア」が画像上に写ってきています。
「3.の黄色い噛むブレスケア」と「4.の駆血帯」はどの画像にも写ってきていません。
以上より、MRIのマーカーとして有用なものは「1.の黄色のブレスケア」、「2.の緑のブレスケア」となりました。
「3.の黄色い噛むブレスケア」の色は黄色ですが、中身が上記2種類とは違っているために画像上何も信号変化がなかったのだと考えられます。
また、「4.の駆血帯」の中は空洞になっているために信号が発生しなかったと考えられます。
他の種類のブレスケアもあり実験をしたことがありますが、外の膜が溶けやすい成分のものが使用されている商品を使ったため(たぶんすぐ胃の中で溶けるようにするため?)、皮膚の上で体温などで溶けてしまい、ベタベタになった事がありました。
ですので、今回は簡単に手に入る3種類のブレスケアを中心に実験を行いました。
というような感じでほんの少しだけ!?アカデミックな感じとなりました。