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ワシミ整形外科

MRIの目印・マーカー 説明編

コラム

こんにちは。
河野です。

今回はMRIの目印のマーカーに関してのちょっとした実験と解説です。
ちょっとその前に、MRIについて簡単に説明します。

MRIは水素原子が含まれている部位であれば体のほとんどの部位を撮影することが可能です。ということは、肺のように空気が多い場所は苦手です。特殊な検査でない限り、肺はCTの方が15~20秒ほどの息止めで検査は終了するので患者さんの負担は少ないです。

MRIは先ほども記載しましたが、全身のあらゆる部位をあらゆる方向から撮影出来ます。ただし、イマイチ場所を特定しきれない「しこり」などの軟部腫瘍や、疲労骨折などの「範囲が曖昧」でここらへんが痛いなど、どこを撮影しているか分からなくならないように目印となるマーカーが必要になってきます。例えば、「しこり」に関して患者さん自身は痛くはないけど皮膚の下などに触れるものがあって気になるとか、昨日は触れたけど、今日は触れない。でも場所はだいたいこのあたりとか。可動性のしこりとか、あまりにもしこりが小さすぎるなど。
他にマーカーが活躍する時は、検査着やcoilといった信号受信機を身体の上に乗せている場合も目視で場所を特定しにくい場合が挙げられます。

挙げればきりがないですが。。。

目印となるマーカーですが、MRIの場合は日常みなさんが使われている目印(例えば、測った長さをペンで記す、ホテルの部屋番号、マラソンの給水のキラキラしたやつ?)としての位置特定のマーカーとはちょっと考え方が異なります。

ペンで書いてもMRIの画像では見えませんし、針金やピンは画像を歪ませるほか、強い磁場を出しているMRI装置にくっついてしまったり、患者さんがけがをしてしまう恐れがあります。
マーカーの市販品も販売されていますが、医療用の物品ですので、それなりにいい値段がします(>_<)
あとは、MRIは電子レンジと同様な原理ですので検査中は体が温かくなります。患者さんにマーカーを貼った皮膚の箇所が腫れたり、炎症を起こしたり、溶けたりしないことが大前提です。

また、マーカーがいくら安価でも大きさが適度な大きさではなくて小さすぎたりすると、画像上で病変ではなくて、マーカーを探すという意味不明な(!?)ことも起きてしまいます。
私の経験談ですが、マーカーを見つけられなくても病変を見つけれれば特に気にすることはありませんが、病変がなく(病変が消えたり、手術して病変を取った跡の確認など)、またマーカーも画像上で探すことが出来ないことがあるととても厄介です。病変ではなく、マーカーを探すのにいろいろ撮影して10分近くかかったこともあります( ゚Д゚)

ということで、以上のことをまとめるとMRIのマーカーの条件としては、

・どの撮影法でもマーカーが見える(画像上で確認できる)
・画像上の邪魔にならない
・人体に無害
・コストが安い
・変性・劣化がない
・耐熱性
・適度な大きさ

他にもあるかも知れませんが、今思い付くのはこれくらいです。MRIに携わっている診療放射線技師なら、マーカーは必須物品だと思います。マーカーは消耗品ですが、先ほども言いましたけどMRI専用の市販のマーカーは高いです。確か一つ数百円くらいすると聞きました。だいたい上下で挟むので、最低二つは必要になってきます。
何か代用品がないか技師さんたちは探されました。上記の条件をクリアするのは商品名を記載しますが、なんと、『小林製薬のブレスケア』なんです!!

ちょっと前置きが長くなったので、今回はマーカー前編(説明編)として、次回はマーカー後編(実験編)にしたいと思います。
基礎実験ですが、実験をすると判らないことも判ってくるので、実験ってやっぱり面白いですね☆

 

※ブレスケアをMRIのマーカーにするのは本来の使用用途と異なるためあまり好ましくないとは思いますが、MRIの教科書にも商品名とともに記載されています。今までに患者さんに何か影響があったという報告もありませんので当院でも使用しています※